3か月を過ぎてから相続の開始を知った場合の相続放棄について

文責:弁護士 鳥光翼

最終更新日:2020年10月26日

1 相続放棄の申述期限

 相続放棄は,「相続の開始を知った日」から3か月以内に行わなければなりません。

 被相続人死亡日ではなく,あくまでも相続の開始を知った日から3か月以内ですので,理論上は被相続人死亡後3か月以上経過していても,それが相続開始を知った日から3か月以内であれば相続放棄は認められます。

2 被相続人死亡後3か月以上経過している場合は説明が必要

 被相続人死亡日と,相続の開始を知った日が異なる場合であっても,相続放棄の申述を行った日が被相続人死亡日後3か月以内なら,実務上は問題になることはあまりありません。

 一方で,被相続人死亡日から3か月以上経過している日に相続放棄の申述を行う場合は,慎重な対応が必要です。

 一般的には,相続人は,被相続人が死亡した日か,その日から数日以内に被相続人死亡(相続の開始)を知ることが多いと考えられています。

 そのため,被相続人死亡日からみて,だいぶ後になってから被相続人が死亡したことを知るというのは,例外的な場合と捉える向きがあります。

 このことから,被相続人死亡から3か月以内に相続放棄の申述ができなかった経緯・理由を説明しなければなりません。

 被相続人死亡から3か月以上後になって相続の開始を知る典型的なケースとしては,長年疎遠で没交渉であった被相続人が借金を抱えたまま亡くなり,債権者が相続人を調査し,被相続人死亡が死亡してから数か月~1年以上経過した後に,書面等で相続人に対して支払いを求めてきたというものがあります。

 この場合,理論上は支払いを求められた日が相続放棄の熟慮期間の起算点となります。

 支払いを求められた日については,債権者からの支払い催促書面等の写しを裁判所提出することで説明ができます。

 これに加え,裁判所に対してもう一つ説明しなければならないことがあります。

 債権者から支払いを求められるまで,相続人において被相続人死亡の事実を知りえなかったという事情です。

 債権者から連絡が来る前に,被相続人死亡の事実を知っていたのであれば,その日が相続放棄の熟慮期間の起算点となりうるためです。

 そこで,申述人と被相続人が長年疎遠であり,没交渉であったという背景事情も裁判所に対して説明します。

 例えば申述人が幼い頃に両親が離婚し,片方の親に引き取られた後,もう片方の親とは一切交流がなかった事情があるケースにおいては,いつの間にか交流のなかった方の親が死亡しており,債権者から連絡が来るまでそのことを知り得なかった等の説明をすることがあります。

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